カウンセリング研究
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中学生における無気力感の予防・対処要因 ―時間的・性別要因を入れた検討―
牧 郁子
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2011 年 44 巻 2 号 p. 136-147

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抄録

本研究では,時間的・性別要因を入れたモデルの検証を通じて,中学生における無気力感の予防・対処要因を検討することが目的であった。分析1では,3時点での調査をもとにモデル検証を行った。その結果,随伴経験(t1)がコーピング・エフィカシー(t2)を形成し無気力感(t3)を緩和するパスに加えて,非随伴経験(t1)が,教師・友人関係・自己への偏った思考(t2)を形成し,コーピング・エフィカシーの少なさの影響とともに勉強における偏った思考(t2)へと収斂し,無気力感(t3)へつながっている可能性が示された。続いて分析2では男女別の解析を行い,男女ともコーピング・エフィカシーと勉強における偏った思考とが無気力感へ直接作用しており,その対処要因として有効な可能性が示された。また,男子では友人関係における偏った思考が,女子では教師への偏った思考が高い間接効果を示し,勉強における偏った思考へと影響して,無気力感に間接的に作用していた。こうしたことから,男子は友人関係の改善が,女子では教師との信頼関係の構築が,無気力感の予防につながる可能性が示唆された。

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© 2011 日本カウンセリング学会
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