カウンセリング研究
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親和・競争欲求からみた自己愛傾向と自尊心
―欲求の充足度という観点を加えた検討―
川崎 直樹小玉 正博
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2011 年 44 巻 3 号 p. 209-215

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抄録

自己愛傾向の高い者は,他者との競争の中で自己の優越性を示すことを強く求める一方で,他者との親和的な関係を維持することを相対的に軽視しがちであるといわれる。そして,実際に自己の優越性が示されていたとしても,本人にとってはそれが満足として感じられることはないといわれている。そこで,本研究では,競争・親和欲求の強さと,その欲求の充足度を区別して測定し,自己愛傾向との関連を検討することとした。なお,自己愛傾向との比較のため,自尊心との関連も検討を行った。大学生259名に質問紙調査を行い,自己愛傾向・自尊心とともに,競争欲求・親和欲求の強さおよびそれぞれの充足度が測定された。その結果,自己愛傾向は,競争欲求およびその充足度の影響によっては説明されないものであった。対照的に,自尊心は競争と親和での充足度とおもに関連を示し,欲求の強さとはあまり関連を示さなかった。これらのことから,自己愛傾向が高い者ほど,親和的な関係より競争的な関係を強く求めており,その欲求が満足を得ない貪欲さを帯びうることが示唆された。

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© 2011 日本カウンセリング学会
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