抄録
本論文では,健常者の身体不満足感の理解と認知行動的介入の可能性について提言することを目的とした。現状では,身体不満足感の定義について,いまだ一致した見解は得られていない。また,身体不満足感のメカニズムに関する研究の知見を十分に踏まえた介入研究は,ほとんど行われていない。さらに,これまでの介入研究では,健常者の健康の維持・増進ならびに精神的不調・疾患の予防には,十分に焦点が当てられてこなかった。そこで,本論文では,国内外の身体不満足感に関する研究を概観し,身体不満足感の定義,発生・維持メカニズム,介入について論じ,その上で健常者の身体不満足感の理解と今後の認知行動的介入の可能性について提言した。その結果,今後の介入では,外見的魅力を過度に重視する信念に焦点を当て,外見に関する否定的な評価は変わらなかったとしても,外見に関する否定的な感情は減少させることが望ましいことが示唆された。また,外見に不満を抱く者が,自己の身体の不完全さを感じながらも,身体や人生の多様な側面について多くの気づきを得ることを促すような介入の発展が必要であることが考察された。