2013 年 46 巻 2 号 p. 83-90
本研究では,心理臨床場面におけるカウンセラーのノンバーバル・スキルのひとつであるミラーリングの効果について検討を行った。実験協力者16人に対して,キャリア・プランについての模擬カウンセリングが実施され,カウンセラーのミラーリングと,クライエントの共感についての体験・評価との関連が分析された。その結果,カウンセラーがミラーリングを行った群は行わなかった群に比べてクライエントがより共感を認知しやすくなり,ラポールの形成につながるポジティブな印象・体験を有意にもたらすことが示された。これらの結果は,共感という現象の過程とミラーリングの関連をデータによって実証したものであると考えられた。