カウンセリング研究
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ケース報告
トゥレット症候群をもつ子どもの親に対する心理教育と親指導
西村 勇人
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ジャーナル 認証あり

2013 年 46 巻 2 号 p. 91-97

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抄録
本報告では,自殺現場を目撃したことを契機として出現した多彩なチック症状が約2年間続いていたトゥレット症候群の男児の母親に対して,心理教育と親指導を中心とした介入を行った。本児のチック症状は,周囲の対応によって強化・維持されている可能性が考えられた。また,不随意に起こるチック症状に対して叱責を受けたり,知的水準の低さからくる勉強の遅れについても叱責されたりすることがストレスとなり,増悪している可能性も考えられた。一方,母親自身も自分の育児方法と症状の発現を関連づけて考えており,それによって自責感やいらいらが強まっていると想定された。そこで母親に,トゥレット症候群についての心理教育,および対応について親指導を行った。その結果,本児に対する母親の対応が変化し,チック症状は減少した。本事例を通して,トゥレット症候群に対してのアセスメントのあり方や心理教育,親指導の有効性について論じた。
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© 2013 日本カウンセリング学会
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