カウンセリング研究
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ケース報告
思春期の選択性緘黙児に対する心理療法のプロセス
青柳 宏亮丹 明彦菅谷 正史
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2013 年 46 巻 3 号 p. 167-176

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抄録
本研究では,来談までの過去3年間にわたり,家以外の場面では一言も話さなかった選択性緘黙症状をもつ中学3年生男子の事例を検討した。医療機関における薬物療法で成果が得られなかった本児に対し,相談機関では不安・緊張状態のモニタリングとコントロールを中心とした心理療法を実践した。選択性緘黙児は,話さない自分を知る人の前では頑なに緘黙を継続する傾向がある。本児は初回面接で話さなかったため,初回面接以降,話すことを意識させない配慮を行い,治療場面で不安が喚起されない関係づくりを工夫した。さらに,高校進学や担当者変更などの節目を利用して,自分が話さないことを知る人のいない新しい場面での症状の改善を目指した。結果的に高校の友人や教員,セラピストと話せるようになり,選択性緘黙の症状解消に至った。このような選択性緘黙児の特性を考慮して行った心理療法のプロセスを報告し,その介入的意義と可能性について検討した。
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© 2013 日本カウンセリング学会
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