2018 年 51 巻 1 号 p. 39-50
本研究では,「キャリア探索の停滞」「所属組織からの低い評価」「友人・知人のキャリアとの上方比較」「ワークライフバランスの欠如」という状況におけるあせりやすさが,「切迫感」「キャリア構築への衝動」「キャリアの懸念」というキャリア焦燥感を介して,離転職意思へとつながるという仮説モデルに従い,ワーク・エンゲイジメントの高低による群別に検討した。就業者1195名を対象にインターネット調査を実施し,多母集団同時分析を行った。その結果,ワーク・エンゲイジメントの低い群は,「キャリア探索の停滞」「所属組織からの低い評価」「友人・知人のキャリアとの上方比較」「ワークライフバランスの欠如」のすべてが「切迫感」を介して,離転職意思に結びついていることが示された。また,ワーク・エンゲイジメントの高い群は,「友人・知人のキャリアとの上方比較」「ワークライフバランスの欠如」が「切迫感」を介して離転職意思を促していることが明らかとなった。