2019 年 52 巻 1 号 p. 1-10
本研究は,ひきこもりに対する支援を模索していくための基礎的研究として検討を行った。具体的には,気質的な自己制御のひとつであるECと青年期に獲得される社会的自己制御であるSSRが大学生におけるひきこもり傾向とどのように関連しているのかについて,性差を考慮しながら2つの仮説モデルを検討した。その方法として,3つの大学の514名の大学生に対して質問紙調査を実施した。ひきこもり傾向の下位尺度である他者からの評価への過敏さおよび自己否定・不全感において,女性のほうが男性よりも有意に得点が高かったため,多母集団同時分析による男女別の共分散構造分析を行った。その結果,ECがひきこもり傾向に対して直接的な関連があるモデルが採用された。ECはひきこもり傾向に対して直接的な負の関連があるだけでなく,SSRを介して間接的にひきこもり傾向に負の関連があることが示された。さらに,性別によってモデルに違いがあることが示された。以上から,ECがひきこもり傾向のリスク要因になりうること,SSRを高めることがひきこもりの支援に有効である可能性が示唆された。