カウンセリング研究
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原著
不登校生徒の別室登校に対するチーム支援プロセスとその促進要因
中村 恵子
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2019 年 52 巻 1 号 p. 11-21

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抄録

本研究の目的は,不登校生徒の別室登校に対するチーム支援のプロセスとその促進要因を抽出することである。教室復帰を伴う別室での支援を経験した中学校の教職員23名の研究協力を得て半構造化面接が行われ,データはKJ法を援用して分析された。その結果,次の5カテゴリー・グループに統合されるチーム支援のプロセス・モデルが生成された。「Ⅰ. 学校経営計画での決定」「Ⅱ. 支援チーム形成」を経て,「Ⅲ. チームマネジメント」と並行する「Ⅳ. 生徒支援」が行われ,「Ⅴ. チーム支援の定着」にいたるというものである。「Ⅲ. チームマネジメント」は,不登校生徒の別室での支援を学校課題として意思決定する校長,チームを統括するコーディネーター,アセスメント・支援方針の策定を助けるスクールカウンセラーの三者の協働によって成立していた。「Ⅳ. 生徒支援」では,①家庭訪問支援,②別室環境への適応支援,③学校環境への適応支援,④学級復帰支援, ⑤部分参加を経た学級復帰という段階的支援が行われていた。また,支援の促進要因として,担任や学年部にこだわらず生徒との関係本位でチーム編成をすることと,別室内での課題の調整によって段階的に生徒の学校適応を進めることが抽出された。

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© 2019 日本カウンセリング学会
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