本研究では,日本の研究における援助要請の主要な関連要因を概観した。CiNiiおよびハンドサーチによる1,055件の文献から,援助要請意図あるいは援助要請態度を測定し,関連要因としてネットワーク変数,パーソナリティ変数,問題の深刻さ,症状を扱う43件の論文を抽出した。その結果,おもに以下の6点が明らかになった。(1)ソーシャルサポートはその対象が援助要請の対象と対応する場合は,援助要請意図と正の関連をもち,それ以外の場合は見かけ上の相関のみにとどまる。(2)過去の接触経験は援助要請意図と正の関連をもつ。(3)自尊感情は援助要請意図・態度ともにほとんど関連をもたない。(4)相談ニーズとしての悩み・問題は,援助要請意図と正の関連をもつ。(5)精神的健康は援助要請意図とほとんど関連しないが,一部の抑うつの指標は負の関連をもつ。(6)援助要請態度は,自尊感情を除き一貫した関連がみられない。加えて,各論文のバイアスリスク,一部の指標について統合された効果量が報告された。最後に,今後の研究における適切な尺度使用の必要性,結果の統合のため基本的な分析結果を報告することの必要性などが考察された。
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