2024 年 57 巻 1 号 p. 15-26
本研究では,オンライン会議システム上の視覚的匿名性に焦点を当て,自己開示のしやすさに与える影響を検討することを目的とし,条件によって,自己開示後の気持ちや,聞き手への印象にどのような違いがあるのかを検討した。画面上での顔出しの有無の組み合わせによって,顔映像あり群,顔映像なし群,実験者のみ映像あり群の3群に分け,実験者のみ映像有り群,顔映像有り群,顔映像なし群の順に自己開示がしやすく,自己開示後の気持ちや,聞き手への印象もポジティブになるという仮説のもと,各群20名ずつ,計60名の参加者を対象に実験を行った。結果から,自分の姿や表情も含めて知ってもらえた,わかってもらえた,と感じられることが,オンライン会議システムにおける自己開示にとって重要である可能性が示唆された。この結果には,オンライン会議システムの特徴,参加者の属性などが影響していることが考えられた。本研究では,オンライン会議システム特有の話しやすい状況があることが明らかになり,臨床場面のオンラインカウンセリングにおいて,相談者が話しやすい状況を設定する上でのひとつのエビデンスを示したといえる。