抄録
公共プロジェクトに関する計画決定においては,多くの関係主体と事前のコミュニケーションを行い,可能な限り合意形成を図ることが重要である.しかし,行政と協議参加者の間でプロジェクトに関して認識の違いが存在する場合,両者の間でミスコミュニケーションが生じる可能性がある.本研究では,異なる認識体系を有する行政と個人が,公共プロジェクトの代替案の選択をめぐって協議する問題を主観的非協力交渉ゲームとしてモデル化する.本モデルの均衡分析の結果,両者の認識の不一致により,円滑なコミュニケーションを通じて合意形成を図ることが困難となることが判明した.最後に,両者の認識の不一致に起因して生じるコミュニケーションの問題を克服するための方策について検討し,両者のコミュニケーション過程において,行政が果たすべき説明責任について考察する.