抄録
近年、法定都市計画を補完するため、まちづくり条例等の策定により、建物形態から意匠までを対象とし、関係主体の意向を踏まえた開発協議の仕組みを用意する自治体が増えている。本研究では、このような開発協議の仕組みの実態と成果を明らかにし、同種の協議方式が有している問題点と改善点を検討することを目的として、国立市都市景観形成条例を対象に分析を行った。景観審議会による審議が行われた6事例の協議過程の分析から、以下の点が明らかになった。建物形態(高さ・規模)については、明確な基準がないため、当初案からの階数・容積率削減を評価して、協議を終結する傾向がみられた。一方、建物の利用方法やデザイン(店舗設置、空地、色彩等)では、事業採算性を左右しない小さな変更で対応可能な場合は事業者の協力が得られているが、指導内容自体が具体性に欠け、事業者の回答も抽象的であるため、指導の意図した水準が達成されていないと思われるケースも発生していた。したがって、事前に望ましい水準を明示しない開発協議では、当初案から相対的にどれほど譲歩したかではなく、開発後に生ずる景観の質を評価しながら審議することが必要であると考えられる。