抄録
本研究は、江戸後期から明治初期で、人々が感じていた夜景らしさ(夜景に向けられた関心)がどう変化したかを明らかにすることを目的とする。この目的達成のために、まず、その時期に描かれた浮世絵風景画での夜景表現がどう変化したかを明らかにし、その夜景表現の変化の意味を考察する。その際に、浮世絵風景画の夜景に描かれている景観要素の描かれ方の違いに着目して分析を行う。そのような分析により、次のような結論を得た。江戸後期では、夜景らしさは昼景との景観要素の様態の違いにあるとされていたのに対し、明治初期では、物的環境や慣習などの変化により、夜景らしさは昼景との景観要素の明暗の違いにあるとされるようになったということが言える。