抄録
英国においては長期にわたり都市再生施策として、エリアを限定した施策(Area-based Initiative; ABI)が実施されてきた。New Deal for Communitiesは近年で最大規模のABIであり、5つの政策分野に包括的に取組むものである。本研究は全体論的アプローチの概念がどのように個別のNDCプログラムの計画及び実行に適用されてきたかについて明らかにするものである。そのために、実施計画の分析と、プログラムの代表者へのヒアリング調査を実施した。その結果、全体論的アプローチの概念は実施計画には明確に現れていないものの、多くのケースにおいて課題として取組まれたことが分かった。いくつかの事例ではパートナーシップの体制変革、意思決定プロセスの改革により、全体論的アプローチを促進した。全体論的アプローチの達成により、限られたリソースの中での最大限の効果発現という意義がある一方で、各分野内における閉鎖的な思考や、調整の煩雑化等が課題として指摘される。