抄録
本研究では、仮想の地下街を対象に、避難シミュレーションモデルを構築し、待ち行列を抑制する観点から「誘導なし」、「引き連れ法」、「出口封鎖」といった3つの避難誘導方策の効果を検討した。今回設定した条件で分析した結果、来街者全体が避難を完了する時間や待ち行列が発生する出口は、避難誘導方策の効果を確認する上で重要な指標ではあるが、待ち行列の発生が抑えられたとしても、誘導によって、避難者どうしが移動の際に衝突し、移動中に滞留が発生していることも把握できたため、こうした混乱を事前に把握しておくことは重要である。実際に避難誘導方策を検討する際には、不測の事態によるパニックなども考えられることから、待ち行列について十分な検討が必要である。