日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-3323
Print ISSN : 2433-7773
第13回日本トレーニング指導学会大会
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ポスター発表
パーソナルトレーニングが睡眠の質に及ぼす影響
*三井 悠輔三谷 諒
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 20-

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抄録
【現場へのアイデア】週2-3回、8週間以上のパーソナルトレーニングは、レジスタンスト レーニングを通じて睡眠の質を改善できる可能性が高い。特に夏場は暑さや湿度の影響で 睡眠の質が低下しやすい。トレーニング中は、冷房や空調管理を徹底し、適切な水分補給 を推奨する。自宅でも寝室の温度管理や通気を良くするためのアドバイスを行い、睡眠環 境の整備をサポートすることが望ましい。また、クライアントの睡眠の質を定期的に評価 し、トレーニングによる変化をフィードバックすることが望ましく、個別の改善点や次の ステップを提案することで、より効果的に睡眠の質向上を促すことができると考えられる。 【背景】現代社会において、睡眠の質は多くの人々にとって重要な健康課題であり、当フィ ットネスジムでも、睡眠の質改善を切実に求める会員は少なくない。Kovacevicら(2018) は、最近のシステマティックレビューにおいてレジスタンストレーニングが睡眠の質を向 上させると報告している。そこで、当ジムが提供するレジスタンス運動を含むパーソナル トレー二ングが当ジム会員の睡眠の質改善に寄与しているかを調査することを目的とした。 【方法】当ジムの会員14名(男性6名、女性8名)を対象とし、全員が週1-2回レジスタンス運 動を実施した。対象者は入会時と、入会から4週間以上経過時にピッツバーグ睡眠質問票日本 語版(PSQI-J)に回答した。PSQI-Jから算出されるスコアを睡眠の質の指標とした。入会時と再 計測時のPSQI-Jスコアの変化を評価するために、対応のあるt検定を実施した。p 値が0.05未満 を有意とした。 【結果】PSQI-Jスコアの平均値は、入会時が7.76 (標準偏差[SD]: 4.64)、再計測時が7.76(SD: 3.84)であった。入会時と再計測時のPSQI-Jスコアの差は統計的に有意ではなかった(p > 0.05)。 【考察】当ジムが提供するパーソナルトレーニングによる睡眠の質改善は見られなかった。 これは、レジスタンストレーニングにより睡眠の質改善を報告した先行研究(Kovacevicら、 2018)の結果とは一致しておらず、2つの理由が考えられる。1つ目に、対象者のトレーニング 量が不十分であった可能性がある。Kovacevicらのメタ解析では、採用された文献のほとんど (10文献中7件)が週に3回のレジスタンス運動を行い、8週間以上の介入を行っていた。2つ目に、 本研究における再測定は全て夏付近(7-9月)に行われたことである。Liら(2021)は、暑い 季節に睡眠の質が悪化することを報告しており、本研究で実施したトレーニングによる睡眠の 質改善を相殺していた可能性がある。今後は、睡眠の質を経時的に評価し、トレーニング量や 季節の影響を詳細に検討していく必要がある。
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