2021 年 1 巻 p. 3-8
【目的】膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad:以下,IFP)の移動量は,膝蓋靭帯(patellar tendon)と脛骨近位骨端前面(anterior tibia)がなす角度(patellar tendon-tibial angle:以下,PTT角)の測定にて反映されると報告されている。今回,超音波画像診断装置(以下,エコー)を用い,健常成人の膝関節運動に伴うPTT角の測定からIFPの移動量を予測し,エコー評価の再現性について検討する。
【方法】対象は健常成人25例50膝,膝前面遠位にプローブを当て,膝関節屈曲0°,45°,90°にて膝蓋靭帯・脛骨近位骨端前面・IFPの長軸画像を描出し,PTT角の測定を行った。各膝関節屈曲角度におけるPTT角と検者内信頼性を検討した。
【結果】PTT角は膝関節屈曲0°,45°,90°の角度間で有意な差を認め(p < 0.001),膝関節屈曲角度の増大に伴い鋭角となった。また,エコーによるPTT角の測定は全てのPTT角においてICC(1.3)0.97~0.98と再現性は高かった。
【結論】PTT角による評価は再現性が高く,IFPの移動量をエコーによるPTT角の測定で予測できる可能性が示唆された。