総合理学療法学
Online ISSN : 2436-388X
Print ISSN : 2436-3871
研究論文
膝関節屈曲角度の変化とpatellar tendon-tibial angleの関係
~超音波画像診断装置を用いた膝蓋下脂肪体の移動量の予測~
木下 敬詩脇野 昌司白石 匡工藤 慎太郎木村 保東本 有司福田 寛二
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 1 巻 p. 3-8

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抄録

【目的】膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad:以下,IFP)の移動量は,膝蓋靭帯(patellar tendon)と脛骨近位骨端前面(anterior tibia)がなす角度(patellar tendon-tibial angle:以下,PTT角)の測定にて反映されると報告されている。今回,超音波画像診断装置(以下,エコー)を用い,健常成人の膝関節運動に伴うPTT角の測定からIFPの移動量を予測し,エコー評価の再現性について検討する。

【方法】対象は健常成人25例50膝,膝前面遠位にプローブを当て,膝関節屈曲0°,45°,90°にて膝蓋靭帯・脛骨近位骨端前面・IFPの長軸画像を描出し,PTT角の測定を行った。各膝関節屈曲角度におけるPTT角と検者内信頼性を検討した。

【結果】PTT角は膝関節屈曲0°,45°,90°の角度間で有意な差を認め(p < 0.001),膝関節屈曲角度の増大に伴い鋭角となった。また,エコーによるPTT角の測定は全てのPTT角においてICC(1.3)0.97~0.98と再現性は高かった。

【結論】PTT角による評価は再現性が高く,IFPの移動量をエコーによるPTT角の測定で予測できる可能性が示唆された。

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© 2021 一般社団法人 大阪府理学療法士会生涯学習センター
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