2022 年 2 巻 p. 49-53
【はじめに】膝関節前面痛(anterior knee pain:以下,AKP)を有する症例に対し,超音波画像診断装置(以下,エコー)による膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad:以下,IFP)の機能的変化の評価と治療を行い,若干の改善を認めたため報告する。
【症例紹介】40代男性,ランニング中に転倒し,右膝を捻転し右脛骨顆間隆起骨折を受傷。受傷後45日目より週2回の外来理学療法を開始した。
【経過】Hoffa sign陽性であり,エコーによる膝蓋靭帯と脛骨近位骨端前面がなす角度(patellar tendon-tibial angle:以下,PTTA)の評価においてIFPの機能的変化の阻害を認めた。IFPに対して超音波療法と徒手モビライゼーションを実施した。その結果,AKPは消失し,エコーによるPTTAの評価においてIFPの機能的変化の改善を認めた。
【まとめ】AKPを有する症例に対してエコーによるPTTAの評価を行い,IFPへの介入を行うことでAKPは消失した。AKPの消失前後においてPTTAは変化しており,PTTAによるIFPの機能的変化とAKPの関連する可能性が示唆された。