【はじめに】大腿骨頸部骨折後,重症視床出血を発症した患者に対してTilt tableを使用し,早期から起立練習を行い,基本動作能力の改善が得られたので経過を報告する。
【症例紹介】60歳代男性。自転車走行中に転倒し,右大腿骨頸部骨折(Garden stage IV)を受傷,第2病日に左視床出血(CT分類Grade IIIb)発症,National Institutes of Health Stroke Scale(以下,NIHSS)18点で重度運動麻痺を認めた。
【経過】第3病日に予定されていた人工骨頭置換術(Bipolar Hip Arthroplasty:以下,BHA)は延期となり,第8病日,Tilt tableを使用し患肢完全免荷での起立練習,第11病日,起立性低血圧は消失し,非麻痺側での立位練習を開始した。基本動作は全介助であった。手術待機期間中に尿路感染症と誤嚥性肺炎を発症し,BHAは再延期となった。第28病日,BHA施行。第30病日,両側金属支柱付長下肢装具を使用し歩行練習を開始した。第42病日,患側股関節屈曲ROM100°,基本動作は最小介助で可能であった。第192病日,NIHSS 9点,患側股関節屈曲ROM110°,基本動作は監視下で可能となり,施設退院となった。
【まとめ】医学的管理などにより離床が困難な症例に対し,術前からTilt tableを用いた早期起立練習を行うことで,起立性低血圧ならびに基本動作能力の改善が得られた。
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