総合理学療法学
Online ISSN : 2436-388X
Print ISSN : 2436-3871
2 巻
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研究論文
  • 池本 大輝, 唄 大輔, 城谷 将輝, 徳田 光紀
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 2 巻 p. 1-8
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2022/02/17
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】臨床で簡便に使用できる体組成計を用いたBioelectrical impedance analysisにより推定された全身および下肢のskeletal muscle index(以下,SMI)と,超音波画像診断装置で測定した大腿四頭筋各筋の筋厚および筋輝度が健常若年者の膝伸展筋力へ及ぼす影響を検討すること。

    【方法】健常若年者60名120脚を対象に全身および下肢のSMI,大腿四頭筋各筋の筋厚および筋輝度,膝伸展筋力を測定した。

    【結果】膝伸展筋力と全身および下肢のSMI,大腿四頭筋各筋の筋厚および筋輝度はすべてで有意な関連を認めた。重回帰分析の結果,膝伸展筋力には下肢のSMI,内側広筋(Vastus medialis:以下,VM)の筋厚,性別が影響することが示唆された。

    【結論】健常若年者における膝伸展筋力は,下肢のSMI,VMの筋厚,性別により推定できることが示唆された。

  • 堀口 怜志, 井尻 朋人, 鈴木 俊明
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 2 巻 p. 9-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2022/02/17
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】整形外科術後患者に対するリハビリテーションを実施する上で,筋緊張異常への評価・治療が必要となる。近年,臨床において簡易に骨格筋や軟部組織の評価として超音波測定装置が多く用いられており,筋活動を測定することも提案されている。本研究の目的は,超音波測定装置を用いた筋束長評価によって,低強度の筋活動が評価可能か否かを明らかにすることとした。

    【方法】対象は,健常者9名16肢とした。課題は最大随意収縮の30%以下の等尺性膝関節伸展課題とし,表面筋電計と超音波測定装置を用い筋電図積分値相対値と筋束長変化量相対値を同時測定し,曲線回帰分析を用いて筋束長と筋活動量の関係性を求めた。

    【結果】曲線回帰分析の結果はr2 = 0.736(p < 0.001)であり,筋電図積分値相対値が増加するほど筋束長変化量相対値が増加することが強く示唆された。

    【結論】外側広筋に対する低強度の筋活動の評価として,超音波測定による筋束長評価を用いることができる可能性が示唆された。

  • 堀田 昂己, 三井 完太, 岩下 太樹, 岡田 遼人, 岩坂 桃果, 阪本 大地, 内藤 秀太, 畑中 良紀, 原田 良也, 松本 実夏, ...
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 2 巻 p. 17-24
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2022/04/16
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】運動イメージ戦略の違いが脊髄神経機能の興奮性と運動の正確さに及ぼす影響について検討した。

    【方法】対象は,健常者13名(平均年齢20.3 ± 0.5歳)とした。安静時にF波を測定し,ピンチ力を50%MVCに調節する練習を与えた後,ピンチ課題において規定値と実測値との誤差を算出した。その後,順不同でそれぞれ別日に筋感覚的イメージ,1人称的視覚イメージ中のF波を測定した後,再度ピンチ課題を与えた。

    【結果】安静を基準とした各イメージ戦略間における振幅F/M比増加量に差異を認めなかった。また,安静を基準とした各イメージ戦略間における50%MVCからの絶対誤差改善度に差異を認めなかった。

    【結論】1人称的視覚イメージが1人称の視点に立って運動イメージを行うという点において筋感覚的イメージと類似したことで,同程度の脊髄神経機能の興奮性増大をもたらし,運動の正確さを維持させた。

  • ―性別・年代別の評価―
    稲田 竜太, 井上 裕貴, 安浦 優佳, 出水 精次
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 2 巻 p. 25-33
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】膝前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament:以下,ACL)再建術後症例におけるSingle leg hop(以下,SLH)の性別・年代別の基準値を検討すること。

    【方法】ACL再建術を施行した687症例を対象とした。スポーツ復帰時のACL非損傷側(以下,健側)と再建側(以下,患側)のSLHの跳躍距離と身長で正規化した値(以下,身長比)を調査し,性別・年代別(10代 20代 30代 40代 50代)の平均値 ± 標準偏差をカルテより後ろ向きに調査した。また,男女別に年代毎のSLH基準値の違いも検討した。

    【結果】SLHの跳躍距離と身長比の健側および患側の性別・年代別の基準値が明らかとなった。年代別のSLH基準値は,男女ともに10代 20代で高値であり,30代 40代 50代にかけて小さくなる傾向にあった。

    【結論】SLHの性別・年代別基準値が明らかとなり,健患比評価が困難な両側ACL同時再建症例や反対側ACL損傷症例に対しての指標になると考える。

症例報告
  • ―病態と内固定材料の特性に応じた理学療法―
    荒瀬 友岳, 村尾 浩
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 2 巻 p. 35-41
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2021/10/29
    ジャーナル オープンアクセス

    【はじめに】Maisonneuve骨折の遠位脛腓関節の不安定性に対し,Zip Tight®システム(Zimmer Biomet社)が使用された1症例を経験し,良好な経過を得たので報告する。

    【症例紹介】20代男性,フットサル中に他のプレーヤーと交錯し受傷した。身体所見および画像検査から右腓骨近位部骨折,右遠位脛腓靭帯損傷,右距骨内果間離開を指摘され,Maisonneuve骨折と診断された。遠位脛腓骨間の固定にZip Tight®システムを用いた靭帯再建術が施行された。

    【経過】病態を考慮し,術後2週から6週までの制限付き足関節可動域運動,術後4週間の免荷を行った。術後4週から1/3部分荷重を開始し,術後7週で全荷重可能となった。術後10ヶ月経過時点で日常生活動作時の痛みはなく,フットサル競技にも復帰しており,画像検査結果も良好であった。

    【考察】Maisonneuve骨折の病態理解と内固定材料の特性に応じて免荷期間や関節可動域運動の制限を設定し,良好な経過を得た。

  • 横山 広樹, 玉置 昌孝, 竹林 崇
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 2 巻 p. 43-48
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2021/12/23
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】胸椎化膿性椎間板炎に対する脊椎固定術後の脊髄性運動失調を呈した症例に対して,歩行機能の改善を目的とした振動刺激療法を運動療法と併用した結果,改善を認めたため報告する。

    【方法】運動療法に併用して下肢に対して振動刺激療法を用いる介入期間を設けた。筋力強化練習や動作練習を中心とした運動療法を34日間実施した後に,振動刺激療法を追加して14日間実施した。そして,Walking Index for Spinal Cord Injury II(以下,WISCI II)を用いて歩行機能を評価した。

    【結果】WISCI IIは13点から16点へと改善し,自宅内移動動作の獲得や屋外歩行手段の獲得につながった。

    【結論】脊髄障害を伴った歩行障害に対して振動刺激療法を用いた介入が歩行機能の改善の一助となる可能性がある。

  • ~超音波画像診断装置によるpatellar tendon-tibial angleの評価~
    木下 敬詩, 脇野 昌司, 田端 洋貴, 工藤 慎太郎, 木村 保, 東本 有司, 福田 寛二
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 2 巻 p. 49-53
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2022/04/16
    ジャーナル オープンアクセス

    【はじめに】膝関節前面痛(anterior knee pain:以下,AKP)を有する症例に対し,超音波画像診断装置(以下,エコー)による膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad:以下,IFP)の機能的変化の評価と治療を行い,若干の改善を認めたため報告する。

    【症例紹介】40代男性,ランニング中に転倒し,右膝を捻転し右脛骨顆間隆起骨折を受傷。受傷後45日目より週2回の外来理学療法を開始した。

    【経過】Hoffa sign陽性であり,エコーによる膝蓋靭帯と脛骨近位骨端前面がなす角度(patellar tendon-tibial angle:以下,PTTA)の評価においてIFPの機能的変化の阻害を認めた。IFPに対して超音波療法と徒手モビライゼーションを実施した。その結果,AKPは消失し,エコーによるPTTAの評価においてIFPの機能的変化の改善を認めた。

    【まとめ】AKPを有する症例に対してエコーによるPTTAの評価を行い,IFPへの介入を行うことでAKPは消失した。AKPの消失前後においてPTTAは変化しており,PTTAによるIFPの機能的変化とAKPの関連する可能性が示唆された。

  • ~免荷期からTilt tableを使用した早期起立練習の取り組み~
    渡瀬 涼, 渡辺 広希, 児島 範明, 髙本 雄太, 山本 洋司
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 2 巻 p. 55-61
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【はじめに】大腿骨頸部骨折後,重症視床出血を発症した患者に対してTilt tableを使用し,早期から起立練習を行い,基本動作能力の改善が得られたので経過を報告する。

    【症例紹介】60歳代男性。自転車走行中に転倒し,右大腿骨頸部骨折(Garden stage IV)を受傷,第2病日に左視床出血(CT分類Grade IIIb)発症,National Institutes of Health Stroke Scale(以下,NIHSS)18点で重度運動麻痺を認めた。

    【経過】第3病日に予定されていた人工骨頭置換術(Bipolar Hip Arthroplasty:以下,BHA)は延期となり,第8病日,Tilt tableを使用し患肢完全免荷での起立練習,第11病日,起立性低血圧は消失し,非麻痺側での立位練習を開始した。基本動作は全介助であった。手術待機期間中に尿路感染症と誤嚥性肺炎を発症し,BHAは再延期となった。第28病日,BHA施行。第30病日,両側金属支柱付長下肢装具を使用し歩行練習を開始した。第42病日,患側股関節屈曲ROM100°,基本動作は最小介助で可能であった。第192病日,NIHSS 9点,患側股関節屈曲ROM110°,基本動作は監視下で可能となり,施設退院となった。

    【まとめ】医学的管理などにより離床が困難な症例に対し,術前からTilt tableを用いた早期起立練習を行うことで,起立性低血圧ならびに基本動作能力の改善が得られた。

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