2026 年 6 巻 p. 79-87
【目的】歩行開始動作とステップ動作における立脚側下肢の関節運動の大きさ及びcenter of pressure(COP)の移動量を比較検討した。
【方法】健常男性13名に歩幅とケイデンスを規定した歩行開始動作とステップ動作を実施させ,三次元動作解析により,立脚側下肢の関節運動の大きさを算出した。また,重心動揺計により,COPの移動を計測した。
【結果】立脚側の股関節内転と足部回内に伴う下腿外側傾斜はステップ動作のほうが有意に大きかった。足関節背屈とCOPの後方移動量・前方移動量・側方移動量はステップ動作のほうが有意に小さかった。
【結論】ステップ動作は立脚側の下腿外側傾斜というアライメントの変化を生じさせる動作戦略であるのに対し,前方への推進力を必要とする歩行開始動作では,立脚側の下腿外側傾斜を過度に生じさせないように,振り出し側へのCOPの移動を大きく生じさせる動作戦略である可能性がある。ステップ動作はブレーキを発揮する必要があり,立脚側足関節背屈に伴う下腿前傾を積極的に行なうのではなく,遊脚側膝関節伸展や体幹後傾によって遊脚側下肢の振り出しを行い,重心が前方へ移動し過ぎないようにしていた可能性が考えられる。