論文ID: 2025-004
【はじめに】主介護者(事例)への介助指導により腰痛緩和が得られたが,介護負担感の軽減には至らなかった事例を経験した。本報告の目的は,身体的負担(腰痛)と介護負担感の変化が乖離する要因を考察し,理学療法士が在宅で介護負担感に介入する際の留意点を検討することである。
【事例紹介】被介護者は認知症を有する90歳代女性であり,日常生活に全面的な介護を要していた。事例は介護に伴う身体的負担による腰痛があり,高い介護負担感を呈していた。腰痛緩和から介護負担感の軽減を図るために,事例へ環境調整を含む介助指導を行った。
【経過】結果,腰痛緩和が得られたが介護負担感は著変なく,事例からは介護に対して痛みの軽減より時間的な効率性を優先したい旨が述べられた。
【考察】理学療法士が在宅で介護負担感の軽減に介入する際,介助技術の獲得を第一選択とするのではなく,主介護者が介護に求める価値を考慮した関わりに留意することが重要と考えられた。