千葉県立保健医療大学紀要
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第15回共同研究発表会
千葉県産野菜の抗酸化能
田中 佑季佐塚 正樹
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2025 年 16 巻 1 号 p. 1_149

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抄録

(緒言)

 酸素は好気呼吸を行う生物にとって不可欠な分子である.また,酸素は好気呼吸の一部である電子伝達系の過程において副産物として発生する活性酸素種の生成に関わる.過剰な活性酸素は,細胞内の脂質やたんぱく質,DNAなどを酸化することで細胞に障害を与えるとされている.

 活性酸素種は食品に含まれるビタミン類やポリフェノール類のような抗酸化物質の摂取により消去され,これに伴い酸化ストレスを提言するとされている.本研究は千葉県産の野菜としてカブを使用し,生理学的抗酸化能(BAP)と抗酸化能に関わるとされるビタミンであるビタミンCを測定した.本研究の目的は持続的な抗酸化物質の摂取のために野菜の皮の抗酸化的な価値を示すことである.

(研究方法)

(1)材料

 カブは千葉県内の農場で測定の前日に収穫されたカブ品種‘ゆきわらし’を用いた.ゆきわらしは2023年の5~6月および11~12月及び2024年の5月に収穫された3玉サイズと5玉サイズの物を用いた.試料として用いたカブは全て同一の農場から得られた物である.

(2)BAPの測定

 BAP測定のサンプルはカブの葉・茎を完全に除去し,中心から半分に切断して片側を皮むき,もう片側を皮つきのサンプルとして扱った.皮をむいた,あるいは皮がついたままのカブを所定の重量に測り取り,蒸留水と一緒にミキサーにかけ,遠心後の野菜液をろ過して得られた抽出液をサンプルとして使用し,フリーラジカル解析装置Free carpe diem(Diacron International社)とBAPの測定キットを用い,常法に従って測定した.

(3)ビタミンCの測定

 日本食品センターにHPLCによるビタミンC(総ビタミンC,酸化型ビタミンC,還元型ビタミンC)の測定を依頼した.送付したカブは3玉サイズの個体で,測定の際はBAPの測定と同様に,葉・茎を完全に除去し,中心から半分に切断して片側を皮むき,もう片側を皮つきのサンプルとして扱った.

(結果)

(1)皮の有無による比較

 皮むきと皮つきのカブを比較したところ,1パーセント水準で有意差があった.

(2)季節による比較

 5~6月および11~12月の2群に分けて比較をしたが平均に大きな差は見られず,有意差は無かった.

(3)サイズによる比較

 3玉サイズおよび5玉サイズ2群に分けて比較をした,皮むきの群において平均値に若干の差が見られたが,有意差は無かった.

(4)ゆきわらしのビタミンC量

 5~6月及び11~12月に収穫された3玉サイズのカブ,計4点のビタミンC量を皮むき,皮つきそれぞれHPLCによって分析した結果,皮つきの方がわずかに高い値になった.

(考察)

 皮むきと皮つきカブのBAP値は平均して約1割程度皮つきの方が高い結果となったことから,カブの皮は果肉と比較して多くの抗酸化物質を含むことが示唆された.また,ビタミンCはカブに含まれる抗酸化成分として重要と思われたが,測定によって得られたビタミンC量はBAP値と比較して少量であった.このため,カブの抗酸化能はビタミン類ではなくポリフェノール類が強く影響すると考えられる.ヒトは呼吸による生命活動の副産物として活性酸素種を生成するため,日常的かつ持続的な抗酸化成分の摂取は必須である.今回食品としてカブを取り扱ったが大根や人参のような皮ごと食べることができる野菜も同様の傾向を示す可能性がある.これらの日常的に利用される野菜の皮の栄養学的あるいは美味しさによる利用価値を示すことは日常的かつ持続的な抗酸化成分の摂取に寄与すると考える.

(研究成果の公表)

 (第71回日本栄養改善学会学術総会,令和6年9月7日,ポスター)

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