抄録
目的:RA患者において,経過中における抗CCP抗体価の変動と疾患活動性との関連についてIgM-RFと比較検討した.
対象・方法:診断の確定したRA患者101例(男16,女85)について,抗CCP抗体とIgM-RFを経時的に2回測定した.発症時年齢48.5±13.0歳,初回測定時の罹病期間8.7±9.6年,測定間隔5.4±1.1年であった.最終観察時におけるRAの疾患活動性評価はDAS28-3CRPにより判定した.治療反応性については,測定期間内にDMARDsの増量または変更が行われた症例を治療反応性不良,DMARDsの減量または継続投与を行った症例を治療反応性良好と定義した.
結果:抗CCP抗体とIgM-RFを陰陽性判定別に評価すると,抗CCP抗体陽性群と陰性群,IgM-RF陽性群と陰性群の間に,それぞれDAS28-3CRPの平均値および治療反応性の有意差は認めなかった.しかし抗体価の変動別評価では,DAS28-3CRPが抗CCP抗体価上昇群で非上昇群よりも有意に高く,治療反応性良好群の割合は抗CCP抗体価非上昇群が上昇群よりも有意に高かった.IgM-RF上昇群と非上昇群の間には,DAS28-3CRPおよび治療反応性の有意差は認めなかった.
結論:抗CCP抗体価の変動を長期で観察した結果,抗CCP抗体価上昇群は抗CCP抗体価非上昇群よりも,DAS28-3CRPが高かった.