臨床リウマチ
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総説
生物製剤時代のRAリハビリテーション
田中 一成佐浦 隆一
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2011 年 23 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

   近年,生物製剤の導入により,関節リウマチ(以下,RA)の治療は「Care」から「Cure」の時代へ変遷したといわれ,治療目標も臨床的寛解,構造的寛解,機能的寛解のすべてを満たす完全寛解の導入,さらには寛解導入後の生物製剤からの離脱(ドラッグフリー)の可能性まで論じられている.このようなパラダイムシフトのなかで,リハビリテーション(以下,リハ)の位置づけはどのように変わっていくのであろうか?
   生物製剤の早期導入によりRA患者の機能レベルの低下(インペアメント)は全体として軽減していくと考えられるが,それでもRA患者の不安が尽きることはなく,インペアメントが軽度であるのでリハが必要ないというわけではない.「障がい」の概念を理解し,RA患者を「疾患単位」ではなく,「生活しにくさを持つ人間」として捉え,機能訓練や整形外科的手術後の後療法といった狭義のリハのみならず,生活指導,生活環境の改善,社会への適応能力の向上といった国際生活機能分類(International Classification of Functioning,Disability and Health;ICF)に基づいた,評価とリハを行うことが重要である.
   本稿では,これまでに報告されているRAリハのエビデンスを解説し,新しい時代を迎えたRA治療におけるリハの意義について述べる.

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© 2011 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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