臨床リウマチ
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誌上ワークショップ RA上肢障害に対するリハビリテーション
RA上肢に対する運動療法
蓬莱谷 耕士長尾 佳奈谷村 浩子田中 一成仲野 春樹佐浦 隆一
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2012 年 24 巻 4 号 p. 297-302

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抄録

   RA患者の上肢障害に対する運動療法は上肢機能の維持,改善による日常生活動作(ADL),日常生活関連動作(APDL)や生活の質(QOL)の維持,向上を目的に行われる.運動療法の実施にあたっては,全般的な疾患活動性や骨・関節の所見の評価,生活様式や環境の問診により,疼痛や機能障害の原因を可及的に特定し運動方法や負荷量を決定することが重要である.運動療法には関節可動域練習,筋力増強練習などがあり,装具療法や物理療法を併用しながら関節の状態に応じて負荷量を調節しながら治療を行う.疾患活動性が高い時期には,装具療法やポジショニング指導による安静を中心としながらも廃用予防に努める.疾患活動性が改善,あるいは低い時期には,上肢機能の改善およびADL,APDLの拡大を目的に温熱療法を併用しながら積極的な運動療法とADL練習を行う.
   近年,RA治療の標準治療は大きく変化してきており,リハビリテーションでも,RAによる廃用症候群や関節変形などの発症予防や改善を目的に運動療法を行うことが重要になってきている.一方で,薬物治療が奏功し炎症が沈静化すると日常生活での活動量が大幅に増え,RA患者の関節構造を超えた負荷が過用や誤用を生じる危険性もあるため,運動機能障害の維持,改善を目的に運動療法を行う場合には,関節の状態と日常の活動量を評価し,患者に応じた適切な運動療法と生活指導の実施が非常に重要である.

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© 2012 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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