抄録
近年,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の薬物療法は大変進歩してきている.生物学的製剤の導入により,寛解導入が容易になったが,これが患者の日常生活動作(activities of daily living:ADL)の改善につながっているかは不明である.そこで当センター作業療法室作成のADL評価表を用いてRA患者の日常生活動作における特徴を調査した.この調査は10年前にも行っており,前回調査と今回調査の結果を比較検討した.結果,項目としては下肢機能が関与する「床からの立ち上がり」の自立度が増した一方で,両側の手指の把持機能と筋力を必要とする「タオル絞り」「フタの開閉」では,ほとんど変化がみられなかった.このことから,RA患者における生活指導では今まで以上に,疾患活動性を把握しながら小関節である手関節や手指へのオーバーユースへの配慮が必要である.