臨床リウマチ
Online ISSN : 2189-0595
Print ISSN : 0914-8760
ISSN-L : 0914-8760
誌上ワークショップ 生物学的製剤による寛解の現状
臨床的寛解の考え方と変遷
亀田 秀人
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 24 巻 4 号 p. 303-306

詳細
抄録
   臨床的寛解とは,長い眼で見てもその状態を維持している間は臨床的に問題がないと予測される状態,換言すれば疾患自体のリスクが事実上消失した状態のことである.従って,臨床的寛解は(X線)画像的寛解や機能的寛解と無関係ではなく,それらの評価指標を用いて定義されることになる.治療薬や治療戦略の進歩により,関節リウマチにおいては多くの患者にとって臨床的寛解は現実的な治療目標となっている.関節の腫脹が診察で認められず,炎症反応が検出されないことが臨床的寛解に相当すると考えられるが,わずかな関節腫脹や炎症反応を許容するか,そして患者の自覚症状をどの程度考慮すべきかに関しては,なおも議論の余地がある.従って,DAS(disease activity score)28やSDAI(simplified disease activity index),あるいは筆者が考案したHRAS38(handy rheumatoid activity score with 38 joints)などの包括的(複合的)活動性指標を用いて臨床的寛解の基準を決定する場合にも,個々の患者における妥当性や地域性による違いなど,グローバルスタンダードの確立には解決すべき課題が山積している.
著者関連情報
© 2012 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top