臨床リウマチ
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誌上ワークショップ 生物学的製剤による寛解の現状
関節リウマチにおけるバイオフリー寛解の現状
齋藤 和義田中 良哉
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2012 年 24 巻 4 号 p. 307-313

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抄録
   関節リウマチ(RA)の治療において,生物学的製剤の登場は臨床的,構造的,機能的寛解を現実的なものとした.次なる目標は,寛解あるいは低疾患活動性(LDA)まで改善した症例において生物学的製剤を中止しえるいわゆるバイオフリー寛解である.海外からのBeStスタディや本邦で行われたRRR(Remission induction by Remicade in RA)スタディでは,インフリキシマブにてLDAとなった場合,約半数でその後バイオフリーとしてもLDAが維持されることが示された.また,アダリムマブにおいての当科におけるHONOR試験,欧米のOPTIMA試験などでバイオフリー寛解が可能であることが示された.さらに,エタネルセプトにおけるPRESERVE試験,トシリズマブにおけるDREAM 試験でもバイオフリーは現実的に可能であることが報告されている.
   このように,バイオフリーは現実的に可能である目標と考えられるが,T2T(treat to target)では,疾病の全経過を通じて寛解維持すべきであると推奨しており,バイオフリー寛解の妥当性に関してはさらなる症例の蓄積が必要と考えられる.
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© 2012 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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