抄録
目的:週8mgを超えてメトトレキサート(MTX)を投与した関節リウマチ(RA)患者を対象に,その有効性と安全性について検討すること.
対象・方法:当科で週8mgを超えてMTXを投与したRA患者,80例(男19例,女61例).有効性は,増量開始時,3か月後,6ケ月後で検討し,DAS28-CRP,MMP-3,CRPで評価した.安全性は,有害事象について調査した.
結果:平均年齢は57±13歳.平均罹病期間は9±8年.生物学的製剤併用例は30例(38%)であり,葉酸は全例に投与し,平均投与量は5.2±1.2mg/週である.調査時において,6ケ月以上増量継続例は67例(84%)であり,MTXの中止又は週8mg以下への減量例は13例(16%)だった.6カ月間増量継続例では,平均DAS28-CRPは3.49(0m)-2.56(3m)-2.51(6m)に有意に低下した.平均CRP(mg/dl)は,1.5(0m)-0.6(3m)-0.8(6m)に有意に低下した.平均MMP-3(mg/dl)は157(0m)-115(3m)-82(6m)に有意に低下した.有害事象については,嘔気5例(6%),白血球低下3例(4%),肝酵素上昇7例(9%),倦怠感1例(1%),肺炎1例(1%)であった.いずれもMTXの中止又は減量により症状の改善を認めた.本研究では,8mgを超える増量開始時のALTの値が,増量継続群(ALT=16±7U/L)に比べ中止・減量群(ALT=26±14U/L)で有意に高かった.
結論:週8mgを超えるMTXの増量により,DAS28-CRP,CRP,MMP-3で有意に改善を認めた.副作用による中止,減量例は13例(16%)で認めたが,早期の中止,減量により重篤な症状には至らなかった.中止あるいは減量のリスクとして,MTX増量開始時の肝酵素値が関与している可能性がある.