臨床リウマチ
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原著
関節リウマチにおける患者の返答と患者による全般評価,リウマチ活動性との関連
織部 元廣
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2015 年 27 巻 1 号 p. 21-27

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抄録

目的:関節リウマチ(RA)では患者の返答が時に真意と外れることもある.そこで返答とVisual Analog Scaleを用いた患者による全般評価(PGA),医師全般評価(DGA),また実際の活動性の指標(血清CRP値,DAS28CRP値),mHAQ値との関連を当院通院のRA患者で検討した.
対象・方法:無作為に抽出した当院通院中のRA患者104例(男性17例,女性87例,平均年齢63歳,平均罹病期間13年)を対象とし,5種の返答,どうもない,かなり良い,まあまあ,かなり悪い,とても悪い,から選択,同時にPGA,DGA,DAS28CRP,mHAQとの関係を検討した.
結果:「どうもない」10例,「かなり良い」30例,「まあまあ」49例,「かなり悪い及びとても悪い」15例の4群にて年齢,罹病期間,stage,class,CRP値,PGA,DGA,DAS28CRP,mHAQについて4群を比較した.PGA,DGA,DAS28CRP,mHAQは言葉の悪化に従い,悪化していた.しかし個々の症例では想定以上のバラツキが見られた.患者の返答と最も相関が高かったのはPGAついでmHAQであった.返答「どうもない」,「まあまあ」の2群で性差を見ると,「どうもない」群では男性が,「まあまあ」群では女性でやや病勢の悪い傾向が認められた.
結論:患者の返答とPGAには解離を示す例もあり,また返答内容により性差が存在する可能性もあり,それらを考慮した返答の解釈が必要である.

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© 2015 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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