臨床リウマチ
Online ISSN : 2189-0595
Print ISSN : 0914-8760
ISSN-L : 0914-8760
総説
バイオマーカーによる重症化予測と生物学的製剤の選択
大村 浩一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 27 巻 2 号 p. 83-90

詳細
抄録

   生物学的製剤の登場で関節リウマチの治療は劇的に進歩し,治療のパラダイムシフトが起こった.しかしながら,高価な治療であり,日和見感染から命を落とすことも稀ではない.本来,生物学的製剤を用いなくとも寛解に持ち込むことが可能な症例にも早期から生物学的製剤を投与しているオーバートリートメントも問題となっている.早期から重症化が予想される患者を効率的に見出し,適切な治療を行うことが求められている.これまでアメリカリウマチ学会(ACR),ヨーロッパリウマチ学会(EULAR)勧告では抗CCP抗体,リウマトイド因子(RF)が最も重要な関節予後予測因子であるとされ,その他にはCRP高値,ESR亢進などの高疾患活動性指標も重要な予後予測因子として報告されている.一方,遺伝子多型による予後予測に関しても多数の報告があるが,多施設で確認されているものはごく一部である.HLAは古くから知られるRA発症に関連する分子であるが,RA重症化に関わることも間違いない.HLA-DRβ鎖の70-74番アミノ酸がQRRAA, QKRAA, RRRAAという共通配列(shared epitope: SE)は重症化に関わり,DERAAという配列は軽症化に関わる.特にDERAAをもつと抗CCP抗体陽性でも軽症化するため,より重要かもしれない.HLA以外の重症化関連遺伝子多型としては日本人ではPADI4が関係しそうである.

著者関連情報
© 2015 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top