抄録
目的:関節リウマチ(RA)の実臨床において,生物学的製剤を導入しCRP<1mg/dlと比較的低値であるにもかかわらず複数の腫脹関節が残存する症例が存在する.疾患活動性(DAS28)の改善および関節破壊の抑制には腫脹関節を減らすことも重要であり,炎症組織への高い移行性が期待できるセルトリズマブ・ペゴル(CZP)への切り替えが有効である可能性がある.
対象・方法:本研究では生物学的製剤を導入し血清学的炎症が改善(CRP<1mg/dl)しても,複数の腫脹関節が残るRAに対するCZP切り替えの有効性について検討した.CRP<1mg/dlかつ腫脹関節≧2の生物学的製剤使用(トシリズマブを除く)RA患者11例(疾患活動性high5例,moderate4例,low2例)を対象にCZPへ切り替え,12週後の治療効果を検討した.
結果:EULAR改善基準でmoderate以上の改善は8例70%に認め,DAS28(ERS)と腫脹関節数は80%の症例で改善を認めた.平均のDAS28(ESR)は4.5から3.4に改善し,腫脹関節数は平均9から6まで減った.
結論:生物学的製剤を導入し血清学的炎症反応が改善しても(CRP<1mg/dl),複数の腫脹関節が残存する症例にCZPへの切り替えは有効な治療と考えられた.