抄録
目的:当初有効であった生物学的製剤(BIO)が二次無効のため効果減弱を認めた症例を対象にアバタセプト(ABT)を2回投与し,その後それまでのBIOを再投与し,効果の再現が得られるか否かプロスペクティブ研究を行った.
対象並びに方法:6ヶ月以上BIOを投与し(平均投与期間37ヶ月)それまで有効であったBIOが二次無効に陥った関節リウマチ(RA)21例(男性6例,女性15例,平均年齢62歳,平均罹病期間13年)を対象とした.それまでのBIOを一旦中止し,ABTを体重に応じて500mgないし750mgを,2週後,4週後に2回投与し,その2週後より前BIOを再開した.
結果:21例中3ヶ月後に16例(76%),6ヶ月後に15例(71%)にやや有効(DAS28CRP改善率26%)以上の効果が得られた.平均DAS28CRP値はABT開始時4.84から3ヶ月後3.17(p<0.01),6ヶ月後2.62(p<0.01)へと有意に改善した.
結論:当初有効であったBIOでは一般的に一定の頻度で二次無効が発生し,もしこれを回避する方法があれば,非常に有意義である.今回ABT2回の投与により二次無効を回避出来る可能性があり,臨床的有用性が高いと考え報告した.