目的:2012年に承認されたイグラチモド(IGU)は,単剤,MTX併用,bDMARDs併用症例などに投与され有効性などの報告も散見されている.当院では関節リウマチ(RA)患者133例にIGUを投与し,有効性,安全性,転帰などを解析したので報告する.
対象:2012年9月以降に当院でIGUを投与されたRA患者133例のうち65例について有効性を解析した.患者背景は女性61例,男性4例,平均年齢57±13歳,平均罹病期間1.0±3.7年,MTX併用は51例(78.4%),MTX平均用量は10.4mg/週であった.IGU投与開始時の平均DAS28-CRPは3.5±0.9で中疾患活動性であり,平均MMP-3は 62.0±48.2(ng/ml)と上昇していた.解析可能だった65例についてDAS28-CRPで有効性を評価し,全133症例について継続率,安全,転帰などを検討した.
結果:IGU症例の12週時点のベースラインからのDAS28CRPの変化量は-0.9と高い改善を認め,投与500日時点の全症例の継続率は70.3%,MTX併用群で72.2%,MTX非併用群で65.0%でありMTX併用群で継続率は高い傾向にあった.生物学的製剤治療中の42例にIGUが併用され,35例は生物学的製剤が投与継続,7例は生物学的製剤フリーとなった.27例が副作用で中止されたがいずれも重篤なものは認めなかった.
結論:IGUは単剤あるいはMTXとの併用で有効性を認められた薬剤である.その効果発現の早さは他のcsDMARDsと比較しても劣らず,一次無効が少なく忍容性が高い薬剤である.bDMARDsとの併用においてbDMARDsがフリーになる症例もあり患者の医療費の軽減につながることも期待できる薬剤である.
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