臨床リウマチ
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28 巻 , 1 号
臨床リウマチ
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Editor's Eye
誌説
総説
  • 谷村 一秀
    2016 年 28 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 2016/03/30
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
       関節リウマチ(RA)の診療は,最終目標が関節破壊の進行抑制であることから,画像検査は非常に重要である.我が国における関節エコー標準化の現状,診断と治療における関節エコーの有用性,他疾患との鑑別画像について紹介する.
       RAの診断には2010年ACR/EULARから提唱された関節リウマチ分類基準が利用されている.しかし腫脹,疼痛の評価や滑膜炎の証明などを視覚的に判断する事が可能であれば,その診断精度はますます向上すると思われる.またRA治療においても,DAS評価など臨床的評価に加え,関節エコー検査を用い経時的な所見を得ることで総合的評価も可能となる.
       2010年1月,日本リウマチ学会関節超音波標準化委員会が設立され,翌年2月に「関節エコー撮像法ガイドライン」,2014年5月には「関節エコー評価ガイドライン」が発刊された.この標準化によって誰もが同じ撮像法で関節や腱,異常血流など描出する事が可能となった.また関節滑膜炎,腱鞘滑膜炎などの重症度分類,撮像時のピットフォール,機種間格差の是正なども提示された.
       従来,RA診療での画像検査としてはレントゲン,MRI,CTなどが用いられていたが,この関節エコーガイドラインが提唱されたことで,さらなる画像ツールとしての位置づけがなされ,診療に応用することが可能となった.またRAと他疾患との鑑別を簡便に行う上でも,その意義は大きいと考える.
  • 野崎 祐史
    2016 年 28 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 2016/03/30
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
       ループス腎炎(LN)は末期腎不全に至り,透析導入を余儀なくされる全身性エリテマトーデスにおける重篤な合併症の一つである.International Society of Nephrology/Renal Pathology Society 2003によってLNはclass IからVIに分類され,class毎の治療法選択が推奨されている.そのためには腎生検での組織診断を行う事が望ましいが,侵襲的なために施行できない症例が存在する.以上の理由から腎組織における糸球体および尿細管間質性障害と相関する簡便な検査が望まれており,尿中バイオマーカーに対する研究が現在まで行われてきた.我々は急性腎障害の尿中バイオマーカーとして報告されているKim-1 (Kidney injury molecule-1)についてLN疾患活動性との相関を検討したところ,尿中Kim-1は活動性LNでは非活動性LNに比べて上昇を認め,腎病理組織において尿細管Kim-1発現と糸球体および尿細管間質性障害との相関を認めた.また,LNモデルマウスであるMRL-Faslprマウスに対して抗Tim-1 (T cell immunoglobulin mucin domains-1)抗体(Tim-1はKim-1と同意語)を投与することで生存率は改善し,糸球体障害,尿細管間質性障害の改善および蛋白尿も低下した.また炎症性サイトカイン低下と制御性T・B細胞の増加を認めた.以上からKim-1 (Tim-1)はLNにおける尿中バイオマーカーとしてだけでなく,治療標的となり得る可能性が考えられた.
原著
  • 織部 元廣
    2016 年 28 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 2016/03/30
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    目的:当初有効であった生物学的製剤(BIO)が二次無効のため効果減弱を認めた症例を対象にアバタセプト(ABT)を2回投与し,その後それまでのBIOを再投与し,効果の再現が得られるか否かプロスペクティブ研究を行った.
    対象並びに方法:6ヶ月以上BIOを投与し(平均投与期間37ヶ月)それまで有効であったBIOが二次無効に陥った関節リウマチ(RA)21例(男性6例,女性15例,平均年齢62歳,平均罹病期間13年)を対象とした.それまでのBIOを一旦中止し,ABTを体重に応じて500mgないし750mgを,2週後,4週後に2回投与し,その2週後より前BIOを再開した.
    結果:21例中3ヶ月後に16例(76%),6ヶ月後に15例(71%)にやや有効(DAS28CRP改善率26%)以上の効果が得られた.平均DAS28CRP値はABT開始時4.84から3ヶ月後3.17(p<0.01),6ヶ月後2.62(p<0.01)へと有意に改善した.
    結論:当初有効であったBIOでは一般的に一定の頻度で二次無効が発生し,もしこれを回避する方法があれば,非常に有意義である.今回ABT2回の投与により二次無効を回避出来る可能性があり,臨床的有用性が高いと考え報告した.
  • 吉田 智彦, 勝山 直興, 中野 弘雅, 野澤 洋平, 大滝 恭弘, 金物 壽久
    2016 年 28 巻 1 号 p. 35-45
    発行日: 2016/03/30
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    目的:2012年に承認されたイグラチモド(IGU)は,単剤,MTX併用,bDMARDs併用症例などに投与され有効性などの報告も散見されている.当院では関節リウマチ(RA)患者133例にIGUを投与し,有効性,安全性,転帰などを解析したので報告する.
    対象:2012年9月以降に当院でIGUを投与されたRA患者133例のうち65例について有効性を解析した.患者背景は女性61例,男性4例,平均年齢57±13歳,平均罹病期間1.0±3.7年,MTX併用は51例(78.4%),MTX平均用量は10.4mg/週であった.IGU投与開始時の平均DAS28-CRPは3.5±0.9で中疾患活動性であり,平均MMP-3は 62.0±48.2(ng/ml)と上昇していた.解析可能だった65例についてDAS28-CRPで有効性を評価し,全133症例について継続率,安全,転帰などを検討した.
    結果:IGU症例の12週時点のベースラインからのDAS28CRPの変化量は-0.9と高い改善を認め,投与500日時点の全症例の継続率は70.3%,MTX併用群で72.2%,MTX非併用群で65.0%でありMTX併用群で継続率は高い傾向にあった.生物学的製剤治療中の42例にIGUが併用され,35例は生物学的製剤が投与継続,7例は生物学的製剤フリーとなった.27例が副作用で中止されたがいずれも重篤なものは認めなかった.
    結論:IGUは単剤あるいはMTXとの併用で有効性を認められた薬剤である.その効果発現の早さは他のcsDMARDsと比較しても劣らず,一次無効が少なく忍容性が高い薬剤である.bDMARDsとの併用においてbDMARDsがフリーになる症例もあり患者の医療費の軽減につながることも期待できる薬剤である.
  • 水木 伸一, 久志本 和郎, 山崎 仁志, 吉田 健志, 押領司 健介, 鎌田 一億, 横田 英介
    2016 年 28 巻 1 号 p. 46-52
    発行日: 2016/03/30
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    目的:関節リウマチ患者の骨粗鬆症に対するデノスマブ1年間の治療効果を明らかにすること.
    対象・方法:当科で関節リウマチ患者の骨粗鬆症に対して投与を開始した連続32例を対象とした.骨密度をデノスマブ開始時,12ヶ月後に測定した.血清TRACP-5b,尿中ペントシジンを開始時,6ヶ月後,12ヶ月後に,血清P1NPを開始時,6ヶ月後に測定した.新規骨折や有害事象について後向きに調査した.統計学的解析は対応のあるt検定を行った.
    結果:1年以内の脱落3例を除いた29例を解析した.開始時の平均年齢70.4歳,平均罹病期間13.3年,平均DAS28-CRP 2.75,プレドニゾロンは23例(71.9%)が服用し平均用量は5.2mg/日であった.12ヶ月時の腰椎骨密度はデノスマブ開始時と比較し3.4%上昇(p<0.0001),大腿骨頚部骨密度は1.1%上昇(NS),血清TRACP-5bは36.4%減少(p=0.0061),血清P1NP(6ヶ月後)30.1%減少(p=0.0088),尿中ペントシジンは10.3%減少(NS)していた.新規椎体骨折が3例(11.1%),大腿骨近位部骨折が2例(6.9%)で発生した.顎骨壊死が1例でみられた.
    結論:関節リウマチにおける骨粗鬆症に対するデノスマブによる1年間の治療は,骨密度を増加させ,骨代謝マーカーを改善させる.
  • 細野 久美子, 大上 仁奈, 笹島 隆義, 上原 学, 横田 俊平
    2016 年 28 巻 1 号 p. 53-65
    発行日: 2016/03/30
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    目的:カナキヌマブ(イラリス®皮下注用150mg,以下本剤)の長期投与時の安全性及び有効性の評価のため,製造販売開始日以降に日常診療下で本剤を使用した全てのクリオピリン関連周期性症候群患者を対象に製造販売後調査を実施中である.本稿では2011年12月の販売開始から3年後の中間集計成績を報告する.対象・方法:36医療機関で55名が登録され,2014年12月末で24週時の調査票が固定された48名のうち,適応外の1名を除外した47名を安全性解析対象とした.結果:投与開始時の平均年齢は20.8歳で,フェノタイプ分類ではFCAS患者7名,MWS患者22名,NOMID患者18名であった.副作用発現率は34.0%で,主な副作用は鼻咽頭炎(8.5%)及び上気道感染(6.4%)であった.重篤な副作用は5名9件(胃腸出血2件,気管支炎,気管支肺炎,皮下組織膿瘍,レンサ球菌感染,好中球減少症,体位性めまい,一過性難聴,各1件)であったが,いずれも回復又は軽快した.有効性解析情報のある46名(市販後に投与開始が28名,治験薬から市販薬に切り替えが18名)のうち,完全寛解が得られ再燃がない割合は投与24~104週後の各評価時点で80%~90%であった.結論:今回,本剤の安全性に新たな問題は認められず,完全寛解後の再燃は少なく有効性が維持された.今後も本剤長期投与時の安全性及び有効性の評価が必要である.
  • 中村 正, 前崎 哲広, 高岡 宏和, 稲葉 恵, 吉永 健, 北岡 光彦
    2016 年 28 巻 1 号 p. 66-74
    発行日: 2016/03/30
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    目的:関節リウマチ(RA)のメトトレキサート(MTX)治療下も含めた結節性病変の発症機序は未だに不明であり,自験例を報告して文献的考察を行なった.
    方法:MTX加療中に発症した自験3RA例における結節性病変をMTXとの関連で検討した.
    結果:MTX使用下に病理組織学的な多様性を呈する結節性病変が生じた.症例1では,MTX加療中に疾患活動性の増悪に伴い多発性に皮膚結節が出現し,rheumatoid neutrophilic dermatitisの病理組織診断であった.疾患活動性の増悪で好中球優位の炎症細胞浸潤を伴い,多核巨細胞の出現や肉芽腫様組織がみられ,MTXを減量しタクロリムスに変更することで結節は縮小・消失した.症例2では,良好なRAコントロール中に肺多発結節影を認め,胸腔鏡下肺生検で肺結節にはEBウイルス(EBV)関連抗原陽性のリンパ球浸潤があり,MTX関連リンパ増殖性疾患としてリンパ腫様肉芽腫症と診断し,MTX中止で結節は消失した.症例3では,MTX使用下に全身性リンパ節腫大を認め,腫大リンパ節生検で異型リンパ球の腫瘍性増生があり,EBV再活性化は認めず,MTX関連リンパ増殖性疾患としてMTXを中止して化学療法を施行し,腫瘤は縮小・消失した.
    考察:RAのMTX使用下も含めた結節性病変は臨床的に多彩である.MTXの作用のひとつに単球・リンパ球からのアデノシン産生増加がある.アデノシンはアデノシンA1受容体を介し,実験的に細胞形態変化や肉芽腫様組織像,多核巨細胞形成,等を惹起し,あたかも症例1に認められた結節病理組織像に類似した組織形態像を醸成し,RA炎症における結節病変形成にアデノシンが関与していることが類推された.症例2ではMTXの抗リウマチ作用とEBV再活性化との関連が指摘され,症例3ではMTXの免疫抑制効果に関連した悪性リンパ腫が認められ,いずれもMTXによる宿主の免疫機構破綻が推測された.RA結節病変の病理組織学的多様性はRA疾患活動性,宿主免疫状態,MTX薬理作用などと複雑に連関し,結節病変発症機序のひとつにアデノシンを介した宿主の炎症・免疫病態,あるいは,EBVなどの感染性因子との相関が予想された.
  • 永渕 裕子, 伊藤 彦, 小泉 宏隆, 風間 暁男, 高木 正之, 山田 秀裕, 尾崎 承一
    2016 年 28 巻 1 号 p. 75-81
    発行日: 2016/03/30
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
       子宮腫瘍と両側副腎腫瘍を呈した悪性リンパ腫(ML)合併シェーグレン症候群(SjS)の2剖検例を経験した.症例1:関節リウマチとSjS合併の83歳女性.下腿浮腫精査で子宮腫瘍を指摘.症例2:SjSの83歳男性.発熱精査で両側副腎腫瘍を指摘.2例共生検できず.剖検でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断が確定した.MLによる子宮と副腎病変は稀で,SjSでの報告はない.SjSに合併する腫瘍の鑑別として重要と考え,報告する.
  • 進藤 百合子, 洞口 亮, 関 由美加, 飯島 秀弥, 進藤 千代彦, 澤井 高志
    2016 年 28 巻 1 号 p. 82-89
    発行日: 2016/03/30
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
       68歳男性.1993年に定期健診で胸部X線異常を指摘された.CTで両肺に結節性病変を認めたが,右中葉結節の部分切除術を受け,非AA型アミロイドが沈着した限局性結節性肺アミロイドーシスと診断された.その後の経過観察で,結節病変は徐々に増大,増加傾向である.しかし,自覚症状なく,肺以外にアミロイドの沈着を認めていない.限局性結節性肺アミロイドーシスを長期間に亘って経過観察できた貴重な症例である.
臨床リウマチ医のための基礎講座
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