臨床リウマチ
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原著
クリオピリン関連周期性症候群患者を対象としたカナキヌマブの製造販売後調査成績(中間集計)
細野 久美子大上 仁奈笹島 隆義上原 学横田 俊平
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2016 年 28 巻 1 号 p. 53-65

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抄録
目的:カナキヌマブ(イラリス®皮下注用150mg,以下本剤)の長期投与時の安全性及び有効性の評価のため,製造販売開始日以降に日常診療下で本剤を使用した全てのクリオピリン関連周期性症候群患者を対象に製造販売後調査を実施中である.本稿では2011年12月の販売開始から3年後の中間集計成績を報告する.対象・方法:36医療機関で55名が登録され,2014年12月末で24週時の調査票が固定された48名のうち,適応外の1名を除外した47名を安全性解析対象とした.結果:投与開始時の平均年齢は20.8歳で,フェノタイプ分類ではFCAS患者7名,MWS患者22名,NOMID患者18名であった.副作用発現率は34.0%で,主な副作用は鼻咽頭炎(8.5%)及び上気道感染(6.4%)であった.重篤な副作用は5名9件(胃腸出血2件,気管支炎,気管支肺炎,皮下組織膿瘍,レンサ球菌感染,好中球減少症,体位性めまい,一過性難聴,各1件)であったが,いずれも回復又は軽快した.有効性解析情報のある46名(市販後に投与開始が28名,治験薬から市販薬に切り替えが18名)のうち,完全寛解が得られ再燃がない割合は投与24~104週後の各評価時点で80%~90%であった.結論:今回,本剤の安全性に新たな問題は認められず,完全寛解後の再燃は少なく有効性が維持された.今後も本剤長期投与時の安全性及び有効性の評価が必要である.
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© 2016 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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