2016 年 28 巻 2 号 p. 130-134
目的:ジェネリック医薬品(後発医薬品)は先発医薬品と品質・有効性・安全性が同等であるとされているが,後発医薬品に変更されて,効果減弱や有害事象が出現する症例も存在する.今回,抗リウマチ薬を処方している関節リウマチ(RA)患者の処方薬が院外薬局で後発医薬品に移行されている状況を調査した.
対象・方法:外来通院中のRA患者で抗リウマチ薬を処方している200名を対象とし,お薬手帳から状況を確認した.内訳は男性47例,女性153例,平均年齢59.5歳であった.
結果:当院で処方箋に入力可能な薬品名はMTX(リウマトレックス®,メトレート®),SASP(アザルフィジン®),BUC(リマチル®),TAC(プログラフ®)である.各々の薬品の後発医薬品への変更率(後発医薬品への変更数/処方数)は,MTX:16.4%(19/116),SASP:22.2%(18/81),BUC:11.1%(3/27),TAC:7.1%(1/14)であった.後発医薬品へ変更された患者において,効果減弱が4例,有害事象が5例あった.効果減弱はMTXで2例,SASP,BUCで各1例であった.有害事象の3例は変更後に出現したかゆみであった.その他に胆のう炎,円形脱毛症が各1例存在した.
結論:後発医薬品に変更後も問題の無い症例がほとんどであるが,効果減弱や有害事象が発現した症例も存在した.効果減弱や有害事象の可能性についても患者にきちんと説明する必要性がある.