2017 年 29 巻 4 号 p. 261-268
目的:リウマチ外来における医療クラークの役割を紹介し,その重要性を明らかにすることである.
対象・方法:医療クラークがリウマチ外来に関わる直前の前期(2010年3月),クラークの援助が始まった1年後の初期(2011年4月),3年後の中期(2013年4月),5年後の後期(2015年4月)の各時期において,連続する50名の関節リウマチ(RA)患者のカルテを抽出しT2Tの実践率と疾患活動性を評価した.T2Tの実践率はSDAIのコンポーネントがすべてカルテに記載され,かつ1年に1回以上関節X線検査を行っている場合を実践あり定義して評価した.疾患活動性の指標としてはSDAIとCDAIを用い,それぞれの時期における寛解および低疾患+寛解の達成率を評価した.また各時期での使用薬剤の内容を調査した.
結果:T2Tの実践率は前期50%,初期86%,中期94%,後期100%と向上した.SDAIの寛解および低疾患+寛解の達成率はそれぞれ,前期で30.8%と65.4%,初期で28.5%と69.3%,中期で30%,90%,後期で58%と96%と著しく向上していた.またCDAIの寛解および低疾患+寛解の達成率もSDAIと同様に後期になるに従い上昇していた.この間MTXの使用量は徐々に増加していたが,使用率に変化はなかった.また生物学的製剤の使用率にも大きな変化がなかった.一方ステロイドは後期に向かうに従い使用率,使用量ともに減少していた.
結論:医療クラークがリウマチ外来にて医師を援助することはT2Tの実践率をあげることにつながり,さらにはRA患者の疾患活動性の改善に関与すると考えられた.