臨床リウマチ
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原著
当院における高齢関節リウマチ患者に対するトシリズマブの治療効果と安全性
日髙 利彦橋場 弥生久保 和義黒田 宏前田 啓一
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2018 年 30 巻 1 号 p. 38-50

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抄録

目的:当院でトシリズマブ(TCZ)を導入した高齢関節リウマチ(RA)患者の使用成績,安全性を検討する.
対象・方法:当院で2008年4月~2015年4月間にTCZを導入したRA患者67名を対象とし70歳未満(A群,n=41),70歳以上(B群,n=26)に分類し有害事象(AE)および継続率を比較した.3ヶ月以上継続した58例を対象にDAS28-ESR,CDAIを測定し,疾患活動性カテゴリーおよびEULAR/ACR改善基準を用いた臨床評価で両群を比較した.
結果:58例中70歳未満35例(A群),70歳以上23例(B群)の開始時DAS28-ESR/CDAIはA:5.07±1.31/18.58±11.25,B:5.55±1.08/21.71±8.11であり,1年後それぞれDAS28/CDAI A:2.86±1.31/8.57±6.34(p<0.001/p<0.01),B:2.47±1.07/7.50±6.33(p<0.001/p<0.01)と有意差を持って低下した.寛解率において2群間に有意差は認めなかったが低疾患率はB群で有意に高かった.全67例において観察期間中のAE/重篤AE はA:73%/10%,B:93%/7%で,このうち7例がAEでTCZを中止されたが,死亡例は認めなかった.12ヶ月時の継続率はA:70.7%,B:88.5%と高かった.
結論:高齢者においても非高齢者同様TCZの有効性と安全性が期待できる.

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© 2018 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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