日本地理学会発表要旨集
2003年度日本地理学会秋季学術大会
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在日韓国人企業の事業所分布と階層構造
*朴 宗玄
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p. 130

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抄録

在日韓国人企業の事業所展開からみた日本の都市階層の特徴は、次の5点に要約される。第1は、東京・大阪・京都の格差が顕著に現れなかったことである。とくに在日韓国人企業の事業所展開が本格的に行われた発展段階(1965年、1975年)以降、大阪・京都は、事業所数が急増し、在日韓国人企業の事業所設置の拠点都市として評価されたといえる。第2は、名古屋の位置づけが相対的に低いことである。3大都市として位置づけられてきた名古屋は、在日韓国人企業の集積からみた都市評価では、2大都市よりも神戸・横浜などに近い。第3は、広域中心都市への事業所配置は相対的に低く、拡大段階(1995)になって事業所配置の拠点都市として出現されたことである。とくに広域中心都市の中でも、広島と札幌・仙台・福岡との格差が存在しており、国内企業の事業所配置の空間形態とは異なる傾向を示す(阿部,1987,1997;日野,1996)といえる。第4は、初期段階以降、神戸・尼崎・東大阪は在日韓国人企業の事業所配置において主要拠点地として高く評価されてきたことである。この点は、初期段階から在日韓国人企業の事業所展開の拠点として位置づけられた川崎とは対照的結果であるといえる。第5は、地帯別・地方ブロック別の都市階層の偏りが認められたことである。下位都市階層に当たる第_IV_階層、第_V_階層の都市は、北海道・東北・北陸・四国地方が多く、関東・近畿地方の多数の都市とは対照的であるといえる。また、3地帯別にみると、地方圏の都市は第_III_階層以下、周辺圏の都市は第_IV_階層以下にそれぞれ分類され、3大都市圏との違いが明瞭であることが明らかになった。

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