2019 年 31 巻 1 号 p. 24-32
目的:実臨床における関節リウマチ(RA)におけるトシリズマブ(TCZ)治療を併用メトトレキサート(MTX)とプレドニゾロン(PSL)減量・中止と大関節破壊抑制効果に着目して評価すること.
対象・方法:当科でTCZを導入したRA65例中,TCZを2年継続した31例(女性23例,男性8例)を研究に使用した.患者背景,疾患活動性推移,併用薬剤の変化,小関節の関節破壊評価としてΔmTSS,大関節の関節破壊評価としてARASHI score(肩関節,肘関節,股関節,膝関節,足関節)を用いて評価した.
結果:2年継続31例の患者背景は,平均年齢56歳,平均RA罹病期間6.6年,1stバイオ例9例,2ndバイオ例9例,3rd以降例13例だった.平均CDAIは開始時23.3,1年時6.8,2年時5.0.MTX併用率は開始時74.2%,1年時45.2%,2年時29.0%だった.PSL併用率は開始時64.5%,1年時45.2%,2年時22.6%だった.ΔmTSS(/年)は開始時8.1,0-1年間2.7,1- 2年1.1であった.ARASHI Change Score(2年間)の評価(関節[悪化,不変,改善(%)])は肩関節[9.8,86.3,3.9],肘関節[12.5,73.2,14.3],股関節[0.0,94.3,5.7],膝関節[9.6,65.4,25.0],足関節[3.8,90.6,5.7]であった.
結論:2年間のTCZ治療でMTXは減量・中止例が増加した.MTXを減量しても関節破壊進行は抑制されており9割以上の大関節で関節破壊の悪化はみられなかった.