2019 年 31 巻 2 号 p. 112-125
目的:ガラクトース欠損抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA(G0))が最近報告されてきている.抗ガラクトース欠損IgG抗体(CARF)とACPA(G0)免疫複合体がマクロファージを活性化してサイトカインの産生を増強すると推定される.今回,実臨床における,関節リウマチ(RA)患者におけるインフリキシマブまたはエタネルセプト投与前後のCARF値の変化を解析した.
方法:80人の患者データをレトロスペクティブに集めた.投与前(M0)と投与後6ヶ月(M6)の所見を評価した.CARFは電気化学発光免疫測定法で測定され,ACPAは随時一度だけ抗CCP抗体の化学発光免疫測定法で測定された.
成績:CARFM0はACPAM0とかなりの相関を示した(順位相関係数rs=0.62,n=37,p=4.1E-05).CARFM0とACPAM0はCRPM0と有意に相関した(それぞれ,rs=0.34,n=80,p=0.002,rs=0.47,n=37,p=0.004).ベースラインからのCARF の%低下割合は有意で(メディアン=-42.3%,p=0.0002),DAS28-CRPの%低下割合と有意に相関した(rs=0.44,p=4.8E-05).
結論:RAのインフリキシマブまたはエタネルセプト治療下において,抗ガラクトース欠損IgG抗体(CARF)値の変化率は疾患活動性の変化率と相関する.