2019 年 31 巻 2 号 p. 135-144
目的:薬剤アドヒアランス不良な関節リウマチ(以下,RA)患者の自宅に薬剤師が訪問し薬剤指導を行う制度「在宅患者訪問薬剤管理指導」(以下,訪問薬剤指導)の教育効果を検証すること.
対象・方法:主治医において薬剤アドヒアランス不良と思われたRA患者のうち,訪問薬剤指導前後で薬剤の用法および用量,投与間隔など治療内容が全く変化なかった19名を対象とした.これら19名に対して年齢,罹病期間,生物学的製剤使用率,メトトレキサート(以下MTX)使用率及び投与量,認知症の有無,同居家族の有無,訪問薬剤指導施行日から受診日までの期間,訪問薬剤指導前後でのSDAIを調査した.
結果:対象患者の年齢は74.4±6.1歳(平均±標準偏差,以下同),疾患期間は144.2±114.5月,生物学的製剤使用は8名(42.1%),MTX使用率及び投与量は84.2%,6.6±2.7 mg /週,認知症の患者は2名,1人暮らしの患者は8名,訪問薬剤指導施行日から受診日までの期間は66.9±20.5日であった.そして,訪問薬剤指導前後でSDAIは7.99±6.88から4.39±3.47(p = 0.0352)に改善した.訪問薬剤指導後のアンケートでは,説明時間の配慮,相談のしやすさ,指導後の服薬はしかりできる,などの評価が高かった.
結論:薬剤アドヒアランス低下RA患者に対する訪問薬剤指導はRA疾患活動性を低下させ,患者のアドヒアランス向上に有用な制度である.
COI:なし