臨床リウマチ
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原著
自己免疫疾患患者における,アログリプチンのステロイド糖尿病への有用性ならびに安全性の検討
浅野 諒子多喜 博文戸邉 一之伊藤 聡東谷 佳奈中園 清村澤 章石川 肇小林 大介長谷川 絵理子成田 一衛
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2020 年 32 巻 1 号 p. 35-47

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抄録

【目的】アログリプチンのステロイド糖尿病における有効性,自己免疫性疾患領域での安全性につき検討する.【方法】新潟県立リウマチセンターでプレドニソロン(PSL)使用中の自己免疫疾患患者で,2011~2017年10月末までにアログリプチンを使用された患者を対象に後ろ向き観察研究を行った.欠損値はLOCF法で補完しWilcoxon signed-rank検定で解析した.【結果】74名が解析対象となり,アログリプチン開始から24週後にHbA1cは有意に低下していたがPSL投与量も有意に低下していた.PSL・糖尿病薬投与量が一定だった患者からなる群(n=57)でもHbA1cは24週後に有意に低下していた.PSL・抗リウマチ薬投与量が一定であった関節リウマチ(RA)患者からなる群(n=22)では,観察期間中の疾患活動性に有意差はなく,関節痛悪化による脱落はなかった.2例で関節炎悪化と主治医に判断されていたが,いずれもアログリプチンの中止には至っていなかった.【総括】関節リウマチ症例ではアログリプチン投与後の関節炎悪化を念頭に関節所見の追跡が重要と考えられた.

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© 2020 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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