臨床リウマチ
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誌上ワークショップ 関節リウマチ治療でのバイオマーカー
関節リウマチ治療のバイオマーカーの意義
大村 浩一郎
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2020 年 32 巻 1 号 p. 68-74

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抄録

 バイオマーカーを測定する意義は,より正確な診断,正確な活動性評価,予後予測評価,疾患分類などがあるが,血清中の自己抗体やサイトカイン,細胞表面マーカー,ゲノムデータ,遺伝子発現,miRNA,メタボロームなどが用いられうる.抗CCP抗体はRAの特異的診断マーカーであるが,膠原病ではしばしば陽性になるため注意が必要である.また,RFと組み合わせて4群に分類することで骨破壊の予後予測にも有用である.特に抗CCP(-)RAで有用である.MMP-3はRA診断にはあまり有用ではないが,骨破壊を予測するマーカーとしては有用である.抗CCP抗体も骨破壊を予測するよいマーカーであるが,CCP(+)RAのなかでもHLA-DR13をもつと骨破壊が軽くなるとする報告があるため,我々のコホートで調査した結果,CCP(+)HLA-DR13(+)患者には10年以上経ても全く骨びらんがみられない一群があることが判明し,一方,非常に長期RAを患った患者ではやはり骨破壊は強くなることが示された.HLA-DR13は関節破壊の少ないRAを予測するよいバイオマーカーとなる可能性はあるが,より洗練されたバイオマーカーが望まれる.

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© 2020 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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