臨床リウマチ
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原著
日本人リウマチ性疾患患者における組み換え帯状疱疹ワクチンの,安全性と疾患活動性に及ぼす影響についての検討
伊藤 聡船村 啓阿部 麻美大谷 博中園 清村澤 章石川 肇須藤 真則高村 紗由里小林 大介成田 一衛
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2023 年 35 巻 2 号 p. 64-76

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抄録

目的:日本人リウマチ性疾患患者での組み換え帯状疱疹ワクチン(RZV)の安全性と疾患活動性への影響の検討.

対象:RZVが接種された 関節リウマチ(RA)60例を含む67例(男性11例,女性56例)について検討した.平均年齢は73.5±10.2歳,2回目接種からの平均観察期間(64例)は12.6±5.7ヶ月であった.

方法:副反応,帯状疱疹(HZ)の発症,疾患活動性の変化を検討した.JAK阻害薬を使用している患者ではRZVを接種しなかった患者との比較を行った.

結果:1回目接種後82歳女性RA患者が肺炎により死亡した.12例(17.9%)が1回目接種後に副反応を呈したがほとんどは軽微なものであった.6例(9.4%)が2回目接種後副反応を呈した.2回接種後HZ発症はなかった.RAの治療強化により接種後6ヶ月の活動性は改善しており,COVID-19ワクチン接種前にRZVを接種したRAの治療強化なしの17例の疾患活動性も不変であった. RZVなしでJAK阻害薬を使用した患者は,RZV接種患者より有意に若く罹病期間が短かったが,54例中8例(14.8%)がHZを発症した.RZV接種患者ではHZの発症はなかった.

結論:RZVは比較的安全であり,観察期間は約1年と短かったが,2回接種後HZを発症した患者は認められなかった.RZVは日本人リウマチ性疾患患者の疾患活動性を悪化させなかった.

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© 2023 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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