臨床リウマチ
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原著
自然災害を経験した関節リウマチ患者の声:アンケート自記式コメントからの報告
水木 伸一定松 修一和田 周二田口 浩之森 涼子木本 国晴弓立 恭子永井 美緒
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2023 年 35 巻 2 号 p. 77-85

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抄録

目的:災害対策についての患者教育,行政への働きかけへ活用するために,関節リウマチ(RA)患者が自然災害で感じた/経験したことを知ること.

対象・方法:平成30年7月豪雨被災地域に居住しているRA患者を対象に,令和2年6月に豪雨時の状況や行動,身体・精神面の変化についてアンケート調査を実施した.その中の自記式コメントの内容を分類,集計した.

結果:60人のアンケート回答者のうち,30人で自記式コメントの記入があった.医療機関への要望が32件あり,災害時のオンライン診療や処方を望む声が多かった.ある患者は,薬剤投与間隔を延長して自己判断して調節した対応の記載もあった.避難所への要望が16件あり,避難所の設備や感染対策についての希望が多く,ペットの対応についての悩みもあった.体調悪化の原因として,被災生活での片付けや重いもの運ぶなどの過負荷の具体例が記載されていた.ストレスは時間の経過とともに増大することや調査時にもなお残っているとの記載があった.

結論:RA患者が自然災害へ備える対応を,災害前に教育しなければならない.災害時の診療や薬剤処方・調達についてのシステムを整備しなければならない.RAの病態・特性を考慮した対応を検討していくことが重要である.

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© 2023 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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