臨床リウマチ
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JAK阻害薬総論
田中 良哉
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キーワード: rheumatoid arthritis, DMARD, JAK, treatment
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2023 年 35 巻 3 号 p. 131-138

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抄録

 生物学的抗リウマチ薬や経口JAK阻害薬の高い有効性は,自己免疫疾患の治療の向上に貢献してきた.関節リウマチに対する分子標的薬としては,9種類の生物学的製剤,5種類のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬が使用可能である.標準的治療はメトトレキサートで開始するが,6ヶ月以内に十分な効果が得られなければ,生物学的製剤またはJAK阻害薬を追加する.それでも目標に到達しなければ,3-6ヶ月を目処に生物学的製剤またはJAK阻害薬を切替える.生物学的製剤とJAK阻害薬の相互の切り替えについては,ほぼ同等の有効性であると示された.また,一部のJAK阻害薬については,直接比較試験でTNF阻害薬よりも高い有効性が示され,さらに,複数の分子標的薬に治療抵抗性のdifficult-to-treat関節リウマチに対しても,前治療薬に依存せず有効性が示された.しかし,ORAL-surveillance試験では,リスクのある患者ではTNF阻害薬と比較してJAK阻害薬では死亡,主要有害心血管イベント,悪性腫瘍,血栓症が増加することが示された.治療前のスクリーニング検査によるリスクアセスメント,および,治療中の定期的なモニタリングや有害事象発生時の適切な全身管理の必要性,並びに,各々の患者における安全性と有効性のバランスを考慮した治療戦略の構築の必要性が十分に認識されるべきである.

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© 2023 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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