目的:関節リウマチ患者に対する骨粗鬆症治療として,ロモソズマブが骨密度を増加させることが報告されているが,報告数はまだ多くはない.本研究は,関節リウマチ患者の骨粗鬆症に対するロモソズマブの有効性について,グルココルチコイド投与の有無で検討した.
対象:当院でロモソズマブの投与を受けた関節リウマチ患者29人を対象とした.腰椎骨密度は,ベースライン時,ロモソズマブ投与6ヵ月後,12ヵ月後に測定した.さらに,骨代謝マーカーと関節リウマチの臨床パラメータを,ベースライン時,3,6,12ヵ月後に測定した.これらのデータは,グルココルチコイド投与の有無に分けて検討された.
結果:腰椎骨密度は,ロモソズマブ投与後12ヵ月で13.5%増加した.しかし,グルココルチコイド投与群は,非投与群よりも骨密度の変化率が低かった.また,投与6ヵ月後の血清NTX値の変化率は,グルココルチコイド投与群で有意に高かった.血清骨BAP値は投与3ヵ月で上昇した.関節リウマチの臨床パラメータに有意な変化はみられなかった.
考察と結論:関節リウマチにおけるロモソズマブ治療により,骨形成マーカーが上昇し,骨密度が増加した.しかし,グルココルチコイド投与は骨吸収抑制効果を弱めた.以上より,関節リウマチの治療においては,グルココルチコイドの減量や中止を考慮すべきと考える.
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