2024 年 36 巻 2 号 p. 102-113
目的:高齢関節リウマチ患者の治療選択に関するエビデンスが少ないことから,本稿ではエタネルセプトのバイオシミラーであるエタネルセプト後続1が,高齢関節リウマチ患者の機能的能力,疾患活動性および健康関連QOLに及ぼす影響を評価した.対象・方法:全国7施設より前向きコホート研究(HAPPINESS)に参加した65歳以上の関節リウマチ患者を対象とした.ベースライン時,エタネルセプト後続1投与開始後26週目および52週目にGeriatric Locomotive Function Scale 25(GLFS-25)スコア,Disease Activity Score(DAS28-CRP),Simplified Disease Activity Index(SDAI)およびEuroQol 5 Dimensions 5 Level(EQ-5D-5L)を測定し,変化を評価した.結果:解析対象43例の平均年齢は74.2歳,平均罹病期間は6.9年で,31名が女性であった.GLFS-25スコアは,26週目と52週目にベースライン時と比較して有意な改善が確認された(15.42,17.60,26.37).DAS28-CRP(3.72,2.01,2.16),SDAI(17.27,5.18,6.08)およびEQ-5D-5Lスコア(0.70,0.83,0.83)も試験期間を通じて有意に改善した.結論:エタネルセプト後続1は高齢RA患者の機能的能力,疾患活動性およびHR-QoLを有意に改善した.